ジャーナリスト・北丸雄二さんのZINEをつくりました。

2025.05.30

ジャーナリスト・北丸雄二さんのZINEをつくりました。6月7日(土)、8日(日)11時から18時に、代々木公園イベント広場で開催される、Tokyo Pride 2025で販売します。なくなり次第おしまい。増刷しません(たぶん。残りは人々舎の通販に出します)。両日ともに、北丸さんによるサイン会をおこないます(時間などは前日までに人々舎:Xにてポストします)。Tokyo Pride 2025での販売ブースは、Blue-29

このクイアな世界[前奏篇]北丸雄二(きたまる・ゆうじ)
文庫サイズ/108ページ/1200円(税込)
1. レストラン・シーンをクイアする(おまけ *ブヴェット風キャロット・ラペ・レシピ*)
2. AIDSをめぐる言葉の戦場(映画『BPM ビート・パー・ミニット』に関連して) ——なぜ先進国で日本だけがAIDS禍を克服できずにいたのか
3. 映画『ストーンウォール』の虚実皮膜
4. 愛に幸せが用意されていなかった時代——小説『蜘蛛女のキス』とミュージカル
5. 小児性愛をめぐる時代考察——映画『ミステリアス・スキン』を例題に
6. まだ死ぬわけにはいかない——小佐野彈『メタリック』を読む
7. トランプが「変身」させる「このクイアな世界」——爆走する多様性バックラッシュの時代に


このZINEは、この初冬に予定している北丸さんの新刊『このクイアな世界』の先行シングルカット=前奏篇です。内容は、書き下ろし(1,)、収録原稿(4, 5, 7,)、未収録原稿(2, 3, 6,)で構成されます。

1月にトランプがアメリカ大統領となり、DEI政策(多様性、公平性、包括性)を反故にし、世界を破壊しようとしています。初冬刊行予定の本編では世界に存在するクイアな事象を再発見し、

 私が本書で示したいのは、クイアであることの解放の可能性とかクイアな生き方の面白さとか、そういう大それたものではありません。もちろんそれらは本書の補助線の延長上にはあるはずですが、それよりもまず、これまで私が書き溜めてきたもので、この世界にはすでに多くのクイアな事象が隠されているという事実を示すことでした。世界は実は、見えているものとは別の姿もまた有している。いろんな人がいるんです、いろんな生き方があるんです、ということをまずは表出したい。
 なぜなら、クイアであることをカム・アウトする人たちがまだ圧倒的に少ないこの日本社会では、こういうふうに文字で示さなければ、「アイデンティティ」など必要もなく生きていけるマジョリティ側の人たちに、ただののっぺらとした過不足ない世界しか見えていないからです。世界は重層です。それを知った上で、どうするか。(本書収録予定「まえがき」より)

この4年間(最悪)をどう生きのびるか、提示します。その前奏篇であるこのZINEを読みながら、どうぞお待ちくださいませ。


きたまる・ゆうじ
ジャーナリスト、コラムニスト。毎日新聞をスタートに、東京新聞(中日新聞社)社会部を経 て一九九三年よりニューヨーク支局長。九六年夏に退社して独立、ニューヨーク在住のまま 執筆活動を続ける。在米二十五年の二〇一八年に帰国。東京を拠点にTBSラジオやJ―W ave、FM TOKYO及びネット番組「デモクラシー・タイムズ」などでコメンテーター やニュース解説を行う。東京新聞毎金曜に時事評論『本音のコラム』連載。日米政治や社会・ 文学評論のほか、英米翻訳も多数。著書に『愛と差別と友情とLGBTQ+ 言葉で闘うアメ リカの記録と内在する私たちの正体』(人々舎/2021)。訳書に外交『カーター、パレスチナ を語る:アパルトヘイトではなく平和を』(Jimmy Carter、共訳)、文学『フロント・ランナー』 (Patricia Nell Warren)、『スイミングプール・ライブラリー』(Alan Hollinghurst)、『ノーマル・ハー ト』(Larry Kramer)、『LGBTヒストリーブック 絶対に諦めなかった人々の100年の闘い』 (Jerome Pohlen)、『ぼくらのサブウェイ・ベイビー』(Peter Mercurio, Leo Espinosa)。そのほか、『ヘ ドウィグ&アングリー・インチ』『ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー』な どブロードウェイの日本公演台本も多数翻訳。